眼科医がChatGPTでFX自動売買を作ろうとしたら、気づけばタヌキ研究所の所長になっていた

2026-10-01 · Project Tanuki

最初にやりたかったことは、そんなに複雑ではなかった。

本業は眼科医。仕事とは別に、ChatGPTを使ってFXの自動売買システムを作れないか試してみようと思った。

それだけだった。

ところが、FXにはいろいろな考え方がある。トレンドを見る人、移動平均を見る人、相場の勢いを見る人。ひとつのAIに全部考えさせるより、役割を分けた方が面白い。

そうして戦略ごとに担当を作っていったら、いつの間にか「教授」が6人になった。

もちろん本物の大学教授ではない。ChatGPT上で役割を分けた、6人のAIトレーディング担当である。

6人も教授がいるなら、もう大学でいい。

こうしてFX大学が開校した。

そして私は、眼科医でありながら、なぜか学長になった。

ここまではまだ、FX自動売買を作っている話だった。

問題は、その作業工程自体が妙に面白かったことである。

FXより先に、物語ができた

6人の教授を作り、意見をぶつけ、戦略を組み合わせ、実際に動かせる形へ近づけていく。

こちらは真面目に自動売買システムを作っているのだが、少し離れて眺めるとかなり変なことをしている。

眼科医が夜な夜なChatGPTと相談しながら、架空の教授6人を雇って、FX大学を運営している。

しかも本人はわりと本気である。 作業ログを読み返すと、完成したシステムより、その途中の方が面白かった。

失敗する。 教授同士の役割が変わる。 システムを直す。 本番に近づいたと思ったら別の問題が出る。

「これ、結果だけ残すより、過程そのものを物語にした方がおもしろいんじゃないか」

そう思って、FX本番が始まる前にその過程を書き始めた。

それがKindleになった。

すると、少しおかしなことが起きた。

FXの本番運用より先に、FXを作っている物語の方で売上が立った。

自動売買で利益を出すつもりだったのに、その自動売買がなかなか始まらない間に「自動売買を作っている話」が先にお金を生んだ。

このあたりから、当初の計画はだいぶ怪しくなってくる。

FXが始まらないので、待っている間に別のものを作った

FX大学は少しずつ本番へ近づいていった。

ただ、自動売買はコードを書けば終わりではない。実際の口座、実行環境、常時稼働、外部サービス、確認作業。こちらだけでは一気に進められない場面も出てくる。

そして私は、待つのがあまり得意ではない。

「FX側が進むまで何もしない」という選択肢は、いつの間にか消えていた。

待っている間に、別の面倒なことが目につく。

ChatGPTの過去ログを残したい。 毎回同じWindows作業をしたくない。 ホームページを作るのが面倒だ。 営業のために毎日Xへ張り付きたくない。

ひとつ見つけるたびに、

「これもAIで片付けられへんかな」

となる。 すると、小さな道具がひとつ生まれる。

ひとつ作ると、その道具を動かすための別の道具が必要になる。

その道具を売ろうとすると、販売を手伝う仕組みが必要になる。

その仕組みを自動化すると、今度は自動化を監督する仕組みが欲しくなる。

気づけば、FX大学とは別の場所でタヌキが増え始めていた。

いつの間にか「タヌキ研究所」になっていた

Project Tanukiという名前で、小さなツールや自動化が増えていった。

「めんどくさいことを、タヌキで解決する」

やっていることを雑にまとめると、だいたいこれである。

私はコードを書く専業エンジニアではない。今も本業は眼科医だ。

だからこそ、自分が全部作業する仕組みより、

自分は判断する。面倒な作業はAIや道具へ渡す。

という方向にどんどん寄っていった。

そうして周囲のAIには担当や役職が付き始めた。

教授がいる。 バトラーがいる。 売る係がいる。 掘る係がいる。

そして彼らを増やしている本人は、いつの間にか「所長」と呼ばれるようになった。

FXを始めた時には、もちろんそんな予定はなかった。

眼科医がFX自動売買を作るはずだった。

それが、

FX大学の学長になり、Kindle作家になり、気づけばタヌキ研究所の所長になっていた。

しかも研究所はいまも増殖中である。

一番おもしろいのは、完成品より途中だった

この一連の流れで気づいたことがある。

AIで何かを作る時、価値があるのは完成した製品だけではない。

途中で何に困ったか。 なぜ妙な設計になったか。 どこで止まったか。 待っている間に何が生えたか。 その過程自体が、あとから見るとかなり面白い。

しかも、同じようにChatGPTで何かを作ってみたい人にとっては、完成後のきれいな説明より、途中の失敗や寄り道の方が役に立つこともある。

だからこのブログでは、Project Tanukiの製品紹介だけを書くつもりはない。

「どうやって作ったか」だけでもない。

そもそも、なぜそんなものを作ることになったのか。

その“どうしてこうなった”を残していこうと思う。

FX大学も、Kindleも、タヌキ研究所も、最初から計画表に並んでいたわけではない。

ひとつの面倒をChatGPTと片付けようとしたら、その途中から次の面倒が見えて、また作る。

今のところ、それが延々と続いている。

FX本番がちゃんと走り出す頃、この研究所にタヌキが何匹いるのかは、私にもわからない。